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特定のパーソナリティ障害

F60 特定のパーソナリティ障害

Specific personality disorder

パーソナリティ障害全般

General Personality Disorder

 

疾患の具体例

25歳、女性。職場の同僚に、親友のように親しい女性がいます。その同僚女性といると楽しく、幸福感を覚えます。周囲に対し、いかに素晴らしい親友かをしきりに話します。しかし、同僚女性がほかの人と話していると怒りがこみ上げ、大声で罵倒してしまいます。また、メールの返信が遅いと見捨てられるのではないかと恐怖に苦しみます。日頃から幸せと不幸せの両極端であることが多く、平穏な気持ちでいられません。不幸せな時に自殺未遂をし、救急車で搬送されたこともあります。

 

特徴

パーソナリティ障害は、平均的な人の見方や捉え方や感じ方、考え方、他人との関わり方などに極端なあるいは際立った偏りがあり、それによって著しい苦痛や機能の障害が生じる障害です。偏った行動パターンは長く続くもので、他の精神疾患のエピソード中だけに起こるものではありません。以前は、人格障害と呼ばれていましたが、誤解や偏見を招きかねないことから、パーソナリティ障害に名称が変更されました。

一口にパーソナリティ障害といっても、妄想性パーソナリティ障害や統合失調質パーソナリティ障害、 非社会性パーソナリティ障害など、いくつかの下位分類に分かれています。このページに掲載した診断基準は、すべてのパーソナリティ障害に適用されるものです。下位分類の診断基準は、それぞれのページで紹介しています。

 

有病率

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」によると、ある種のパーソナリティ障害(例:反社会性パーソナリティ障害)は、男性に多く診断されます。一方、それ以外のパーソナリティ障害(例:境界性、演技性、依存性パーソナリティ障害)は女性に多く診断されます。

 

経 過

WHOの診断ガイドライン「ICD-10」によると、パーソナリティ障害は小児期後期あるいは青年期に現れる傾向があり、成人期に入って明らかとなって持続します。そのため、16〜17歳以前にパーソナリティ障害と診断されることは疑わしい場合があります。

アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」によると、ある種のパーソナリティ障害(特に、反社会性、境界性パーソナリティ障害)は年をとるにつれて目立たなくなったり、軽快したりする傾向があります。しかし、他のいくつかのパーソナリティ障害(例:強迫性および統合失調型パーソナリティ障害)では、そうではないようです。また、パーソナリティ障害は、配偶者など自分を支えてくれている重要な人物を失った時や、仕事など気持ちの安定につながる社会的状況を失ったあとに悪化することがあります。

 

診断基準:ICD-10

粗大な大脳の損傷や疾病、あるいは他の精神科的障害に直接起因しない状態で、以下の基準を満たす。

  1. きわめて調和を欠いた態度と行動を示し、通常いくつかの機能領域、たとえば感情、興奮、衝動統制、知覚と思考の様式、および他人との関係の仕方などにわたる。
  2. 異常行動パターンは持続し、長く存続するもので、精神疾患のエピソード中だけに限って起こるものではない。
  3. 異常行動パターンは広汎にわたり、個人的および社会的状況の広い範囲で適応不全が明らかである。
  4. 上記の症状発現は、常に小児期あるいは青年期に始まり、成人期に入っても持続する。
  5. この障害は個人的な相当な苦痛を引き起こすが、それが明らかになるのはかなり経過した後からのこともある。
  6. この障害は通常、しかしいつもではないが、職業的および社会的遂行能力の重大な障害を伴っている。

社会的な規範、規則および義務を考慮した上で、異なった文化に適合する特異的な診断基準をつくり出すことが必要であろう。以下にあげる主な亜型を診断するためには、記述されている特徴あるいは行動のうち少なくとも3つが存在するという明らかな証拠が必要である。

 

診断基準:DSM-5

A. その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式。この様式は以下のうち2つ(またはそれ以上)の領域に現れる。

  1. 認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
  2. 感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定さ、および適切さ)
  3. 対人関係機能
  4. 衝動の抑制

 

B. その持続的様式は、柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっている。

C. その持続的様式は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

D. その様式は、安定し、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期にまでさかのぼることができる。

E. その持続的様式は、他の精神疾患の表れ、またはその結果ではうまく説明されない。

F. その持続的様式は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患(例:頭部外傷)の直接的な生理学的作用によるものではない。

 

※参考文献

『ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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