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パニック障害

F41.0 パニック障害(エピソード[挿間]性発作性不安)

panic disorder(episodic paroxysmal anxiety)

パニック症/パニック障害

Panic Disorder

疾患の具体例

20歳、女性。2ヵ月ほど前、友人と買い物をしている最中に、突然、心臓の鼓動が早くなり、吐き気と息が止まりそうな感覚に襲われました。その症状は15分ほど続き、死んでしまうのだろうかと恐怖するほどでした。その後、週に1回ほどのペースで同様の症状が現れましたが、通学中の電車内や大学で講義を聞いている時など様々でした。「いつかまた発作が起きるのでは」と思うと大学に行くのが怖くなり、このままでは退学してしまうと感じ、メンタルクリニックを受診すると、「パニック障害」と診断されました。

 

特 徴

パニック障害は、予期しないパニック発作が繰り返される障害です。パニック発作とは、動悸、胸痛、窒息感、めまい、非現実感(離人感あるいは現実感喪失)などが突発的に起こり、数分間、持続するものです。アメリカ精神医学会の診断と統計マニュアル「DSM-5」では、パニック症/パニック障害の名称で解説しており、診断基準Aにある13の症状のうち4つ以上が当てはまることと定義しています。

パニック発作を起こす障害は他にもありますが、それらの多くは特定の場所や状況に反応して症状が現れます。しかし、パニック障害は何でもないときに突然、発作が起きる点が特徴です。例えば、家族と過ごしてリラックスしている時や、眠っている時などにもパニック発作が起きるのです。ただし、DSM-5によると、明らかな引き金やきっかけがある「予期されるパニック発作」があっても、パニック障害の診断がつく場合もあるとしています。

ほとんどの患者さんは、パニック発作が起きた時に死を意識したり、「自分はどうかしてしまうのではないか」と自制心の喪失を恐れたりします。急いでその場から立ち去りたくなるのも特徴の一つです。公共の交通機関や店など、いざという時に逃げたり、助けを求めたりすることが困難な場所でパニック発作が起きると、以後、そうした場所を避ける人もいます(広場恐怖症型の状況回避)。また、発作が起きたあとに「再び発作が起きるのではないか……」と恐怖する「予期不安」に陥ることがしばしばあります。

パニック障害は、社会的、職業的、身体的能力の低下と、かなりの経済的損失を招きます。「どこか悪いはずだ」と心配し、医療機関を受診する頻度が高いため、失業や退学に至ることがあり得ます。

 

有病率

DSM-5によると、欧米諸国の若者と成人におけるパニック症の12ヵ月有病率は、約2〜3%と推定されています。およそ2:1の割合で女性のほうが男性より多く罹患します。

 

経 過

アメリカにおけるパニック症の発症年齢の中央値は20〜24歳です。治療をしない場合、経過は慢性的になりますが、増悪と軽快を示すことがあります。何年もの寛解を挟んで再発する人もいれば、重度の症状が持続する人もいます。ほんのわずかな人に限り、完全に寛解してその後数年間にわたって再発がありません。また、典型的にはパニック症に加えて他の不安症群(例:抑うつ障害群、物質使用障害群)を併発します。

 

原 因

気質要因:

否定的感情と、不安への敏感さは、パニック発作が出現する危険要因です。子どもの頃に、親や家など愛着のある人や場所から離れるときに強い不安を感じること(分離不安)は、後のパニック症の発症につながるかもしれませんが、確立された危険要因ではありません。

環境要因:

子どもの頃に受けた虐待は、他の不安症群と比べてパニック症でより多く報告されています。喫煙はパニック発作とパニック症の危険要因です。また、ほとんどの人は、最初にパニック発作が起きる前の数ヵ月間に、何かしら特定できるストレス(例:薬による不快な経験、病気、家族の死など)があったと言います。

遺伝要因と生理学的要因:

複数の遺伝子がパニック症へのなりやすさに関係していると考えられます。

 

治 療

パニック障害は、適切な治療を受けるとほとんどの患者さんで劇的に改善します。最も有効な治療法は、薬物療法と認知行動療法です。

パニック障害についての詳細は、こちらもご参照ください。

 

診断基準:ICD-10

この分類では、一定の恐怖症的状況で起こるパニック発作は、恐怖症の重篤さの表現とみなされ、診断的優先権は後者に与えるべきである。パニック障害それ自体は、F40.-のいかなる恐怖症も存在しない場合にのみ診断されるべきである。確定診断のためには、自律神経性不安の重篤な発作が、ほぼ1ヵ月の間に数回起きていなければならない。

  1. 客観的危険が存在しない環境において起きる。
  2. 既知の、あるいは予見できる状況に限定されない。
  3. 発作と発作の間は、不安症状は比較的欠いている(しかし、予期不安は通常認められる)。

 

診断基準:DSM-5

A.繰り返される予期しないパニック発作。パニック発作とは、突然、激しい恐怖または強烈な不快感の高まりが数分以内でピークに達し、その時間内に、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が起こる。

注:突然の高まりは、平穏状態、または不安状態から起こりうる。

  1. 動機、心悸亢進、または心拍数の増加
  2. 発汗
  3. 身震いまたは振え
  4. 息切れ感または息苦しさ
  5. 窒息感
  6. 胸痛または胸部の不快感
  7. 嘔気または腹部の不快感
  8. めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
  9. 寒気または熱感
  10. 異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
  11. 現実感消失(現実ではない感じ)または離人感(自分自身から離脱している)
  12. 抑制力を失うまたは“どうかなってしまう”ことに対する恐怖
  13. 死ぬことに対する恐怖

注:文化特有の症状(例:耳鳴り、首の痛み、頭痛、抑制を失っての叫びまたは号泣)がみられることもある。この症状は、必要な4つ異常の1つと数えるべきではない。

B.発作のうちの少なくとも1つは、以下に述べる1つまたは両者が1ヵ月(またはそれ以上)続いている。

  1. さらなるパニック発作またはその結果について持続的な懸念または心配(例:抑制力を失う、心臓発作が起こる、“どうかなってしまう”)。
  2. 発作に関連した行動の意味のある不適応的変化(例:運動や不慣れな状況を回避するといった、パニック発作を避けるような行動)。

C.その障害は、物質の生理学的作用(例:乱用薬物、医薬品)、または他の医学的疾患(例:甲状腺機能亢進症、心肺疾患)によるものではない。

D.その障害は、他の精神疾患によってうまく説明されない(例:パニック発作が生じる状況は、社交不安症の場合のように、恐怖する社交的状況に反応して生じたものではない:限局性恐怖症のように、限定された恐怖対象または状況に反応して生じたものではない:強迫症のように、強迫観念に反応して生じたものではない:心的外傷後ストレス障害のように、外傷的出来事を想起するものに反応して生じたものではない:または、分離不安症のように、愛着対象からの分離に反応して生じたものではない)。

※参考文献

『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『ICD-10精神および行動の障害臨床記述と診断ガイドライン(新訂版)』(医学書院)

『カプラン臨床精神医学テキスト』(メディカルサイエンスインターナショナル)

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