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こころの病気のはなし > 一般編 > 心的外傷後ストレス障害(PTSD)

心の病気の種類

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

● 症状

心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、深刻な心の傷(心的外傷)や大きなストレスを受けたあと、強い精神的な苦痛が続く障害です。常に気持ちが高ぶったり(過覚醒)、何も感じなくなったり(無感覚)します。不眠になるほか、抑うつ、不安、集中力の低下などが現れることもあります。

心的外傷となる出来事の例として、暴力的な事故、犯罪、戦争、性的暴力、誘拐、自然災害を目撃したり巻き込まれたりすること、生命を脅かす病気であると診断されたり、何度も身体的、性的な虐待を受けたりすることなどがあげられます。そうした体験を思い出すことを避けようと努力しますが(回避行動)、日常的に再体験やフラッシュバック(頭のなかで何度も再現される)し、苦しい思いをします。

 

PTSDの生涯発生率は全人口の9〜15%、生涯有病率は約8%と推定されていますが、さらに5〜15%は症状が現れていないだけでPTSDになっている可能性があります。生涯有病率は女性で10%、男性で4%と性差があります。

あらゆる年代に起こり得ますが、若年成人にもっとも多く起こります。独身者、配偶者と離婚または死別して再婚していない人、社会的に引きこもっている人、社会経済的水準の低い人に多いものの、誰もが障害を抱える可能性があります。家族にうつ病の経験者がいる人は、PTSDになるリスクが高くなります。 大震災の生存者は、生き残ったことへの罪悪感をもつことがあり、そこからPTSDに発展する人もいます。

 

なお、通常、心的外傷を受けてから一定の時間が経過してからPTSDが発症します。症状が現れるまでの期間は人によってかなり差があり、1週間という短期間から30年という長期間にわたります。

 

●他の病気との関係

PTSDは他の病気と一緒にかかる割合が高く、およそ3分の2に少なくとも2つの病気がみられます。よくあるのは、抑うつ障害群、物質関連障害群、不安症群、双極性障害群などです。

パニック症や全般不安症は、PTSDとの区別が難しいとされています。これら3つの症候群のすべてに、著しい不安や過覚醒が生じ得るからです。しかし、心的外傷となった出来事の回避や再体験は、パニック症や全般不安症にはありません。

なお、PTSDと関連して語られる症状に、「湾岸戦争症候群」があります。1990年から翌91年まで続いた湾岸戦争では、およそ70万人の米軍兵士が従軍しましたが、10万人以上の米国退役軍人が焦燥、慢性疲労、息切れ、脱毛、健忘、集中困難など、非常に多くの健康問題を抱えていました。戦闘現場で経験した心的外傷が関係していると考えられています。

 

●原因

前述したようにPTSDの原因は圧倒的な心的外傷です。ある調査によると、2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件の1ヵ月後、米国市民の11.4%がPTSDに、9.7%がうつ病になったと報告されています。大規模な津波や地震、ハリケーンといった自然災害を経験した人にもPTSDは起きていますが、正確な数値は把握されていません。ある推計によれば、生存者の50〜75%がPTSDの徴候や症状の一部、あるいは全部を体験するとされています。

しかし、心的外傷を体験した人すべてにPTSDが生じるわけではありません。全米併存疾病調査によると、男性の60%、女性の50%は何らかの重大な心的外傷を体験していますが、PTSDの生涯有病率は前述したようにわずか8%です。PTSDの発症には、心的外傷となる出来事の前後に起こった出来事や、個人的な体質や気質、社会的な要因が関係することがあります。ありふれた出来事や、たいていの人々にとってはなんでもないことが、一部の人にとってPTSDを起こす可能性があります。

 

●治療

治療を受けなくても約30%は完全に回復しますが、40%は軽度の症状、20%は中等度の症状が続き、10%は症状が不変または悪化します。

発症から1年後には、約50%が回復します。予後が良好な人の特徴は、症状が早期に現れること、症状の持続が6ヵ月以下と短いこと、強力な社会的支援があること、他の病気や危険リスクがないことなどです。

 

薬物療法

PTSDの第一選択治療薬は、セルトラリン(ジェイゾロフト)、パロキセチン(パキシル)のようなSSRIです。うつ病や他の不安症群と同様の症状だけでなく、PTSD特有の症状にも効果があります。

 

精神療法

精神療法はPTSDの患者さんの多くに有効と考えられます。行動療法、認知療法、催眠療法がよく用いられます。しかし、精神療法中に心的外傷を再体験すると、患者さんが圧倒されてしまう場合があるので慎重に行う必要があります。

また、個人療法のほかに、集団療法と家族療法が有効との報告もあります。集団療法は、ベトナム戦争の退役軍人や、壊滅的な災害の生存者において特に有効だったとされています。家族療法は症状が悪化しているときに結婚生活を維持する助けになることが多いようです。

 

※参考文献

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)

『カプラン 臨床精神医学テキスト 日本語版第3版』(メディカルサイエンスインターナショナル)

 

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